第2話 非日常の週末

3/3
前へ
/23ページ
次へ
「何かお探しですか?」 「ヒッ!」 まじまじと真剣に見ていたら、店員さんがいた事に気づかなかった。どうしよう…ただでさえ話すことが苦手なのに知らない店員さんとなんて、ごめんなさいごめんなさい… 「ごっ、ごめんなさい…失礼しまし…」 「このさくらんぼのチャーム可愛いですよね?新作なんですよ?どうですか?このイヤリングなんて、きっとお似合いですよ?試着だけでもどうですか?」 グイグイ来る店員さんに押され渋々イヤリングを着け、鏡の前に立った。それだけなのに… 「…うわぁぁ!可愛い!」 まるで、自分が変わったみたいだった。ただ、耳に飾りをつけただけなのに、顔が華やかに見え、美しいお姫様になったような気がした。憧れのシンデレラみたいに…このお店…来てよかった! 「これ、買います。」 「ありがとうございます!」 つい、買ってしまった。本当に運命の出会いを初めて感じた瞬間だった。 私にとって、これが最後のオシャレかもしれない…そう思っていた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加