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「何かお探しですか?」
「ヒッ!」
まじまじと真剣に見ていたら、店員さんがいた事に気づかなかった。どうしよう…ただでさえ話すことが苦手なのに知らない店員さんとなんて、ごめんなさいごめんなさい…
「ごっ、ごめんなさい…失礼しまし…」
「このさくらんぼのチャーム可愛いですよね?新作なんですよ?どうですか?このイヤリングなんて、きっとお似合いですよ?試着だけでもどうですか?」
グイグイ来る店員さんに押され渋々イヤリングを着け、鏡の前に立った。それだけなのに…
「…うわぁぁ!可愛い!」
まるで、自分が変わったみたいだった。ただ、耳に飾りをつけただけなのに、顔が華やかに見え、美しいお姫様になったような気がした。憧れのシンデレラみたいに…このお店…来てよかった!
「これ、買います。」
「ありがとうございます!」
つい、買ってしまった。本当に運命の出会いを初めて感じた瞬間だった。
私にとって、これが最後のオシャレかもしれない…そう思っていた。
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