2話 幽霊探しとアンデッド縛りの魔眼

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 城内を歩き回るもののいまだ収穫はゼロ。  何人かの魔族に、幽霊について聞いたものの首を横に振られるばかり。  次はどこを探すべきか、頭を悩ませていれば、ふと見つけた影。 「あ」 「げ……」  それほど仲がいいつもりもないが、悪いつもりもないその元天使に、フジも少し戸惑っていれば、答えは真後ろから帰ってきた。 「ブラボー! 予測に違わぬ反応に、さすがはリッチーと呼ぶべきでしょうか」 「…………いつからいたんすか」  八柱のひとりであり、リッチーのビックバーン。八柱の中では、ある意味友好的だが、ある意味八柱に違わぬ危険人物のひとり。 「先程です。えぇ、貴方がそこの曲がり角を曲がったところからです」  本当に先程らしい。 「帰っていいか?」 「俺ひとりでこの人の相手はできないのでいてください。お願いします」  素直に頼めば、意外に願いを聞いてくれる元天使であるアンジュは、嫌な顔をしながらもその場に留まってくれるらしい。 「さて、我輩、貴方の目的はよぉーくわかっています。えぇ、わかっていますとも!  先ほど、キルケゴーンが言っていた霊の件ですな? ここは笑うところですぞ」  ひくりともしないふたりの笑いを待っているビックバーンに、笑えるか判定するからと、アンジュはフジに小声で話しかける。 「お前、その手に持ってるのって」 「霊を見つけたら拘束できるようにって、キルケさんから渡された、魔眼らしいです」 「そりゃいい。アイツはアンデッドだ。その魔眼なら拘束できる。ちょっと向けてみろ」 「えぇ……」 「イヤなら、俺は帰る」  ここでひとりで、ビックバーンの相手をさせられるか、ビックバーンを拘束するか。 「さてさて、判定はいかがですかのァッ!?」  水晶からビックバーンをのぞき込めば、半透明の杭が円形に取り囲み、ビックバーンに突き刺さった。 「ナイスだ! ズラかるぞ!」 「す、すみません!!」  一応謝ってから、アンジュの後ろをついていく。 「あ、待って。我輩は、ゴーストを素晴らしく最高に爆発(かそう)して、冥府まで送って差し上げたいだけ――!!」 「だと思ったよ!! バァーカ!!」  子供のような捨てセリフを残して走るアンジュに、何も言わずにフジも同意した。  爆発が日常茶飯事とはいえ、進んで近くにいたいわけではない。むしろ、術者が、爆死で死ぬならば素晴らしいことだと豪語しているリッチーな分、危険だ。  ビックバーンが見えなくなるほど遠くまで逃げてから、アンジュにも幽霊について聞くが、知らないの一言。 「天使って、そういうのわかるんじゃ……」 「そりゃ、大天使様なら救いを求める魂も見つけられるだろうが……それがめんどうでサボったら、堕とされたんだし」 「そんな理由だったんですね……」 「あ゛?」 「す、すみません……」  天使とは思えない視線を向けられ、つい顔を背ければ、ため息をつきながら、頭をかき、ある方向に視線をやった。 「まぁ……アレだ。ここは、ノイズがひどいからな」 「ノイズ?」 「デケェ音源があるんだよ」  顎で示された方向にあったのは、魔王城の庭に作られた研究施設。
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