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この明るさは才能だな。ケンジは彼女のメンタルの強さに降伏しようかと考えた。すると、一転、彼女は頬っぺたを膨らませた。
「じゃあ、どうするんですか?」
せっかく呑気さに合わせようと考えたのに、これだ。
ケンジは振り回されっぱなしだ。
「え~?まさかの逆切れ~?」
「お客様もダメダメばっかり言ってないで、何かアイデア出してくださいよ!」
「え~?誰のせい?俺の責任は一ミクロンもないよ!」
ケンジはバッと両手を開いた。何も持っていませんよと彼女に見せるように。
すると、あーでもないこーでもないとある程度の時間やっていたので
「クシュン!」
と、マユちゃんがクシャミをした。
「あら、マユ、大丈夫?」
「ママ。」
彼女はマユちゃんの鼻水をガーゼで拭き取ると、暖めるようにぎゅっと抱きしめた。
「おいおい、こんなことやってる間に子供が風邪ひいたらバカらしいぞ。」
ケンジは心配してマユちゃんに目をやった。
「そうは言ってもねぇ?困ったねぇ?」
「ママ~。」
ケンジは手を額に当て、フーと息を吹いた。
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