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「わかりました。俺がなんとかしますよ。」
「なんとかって?」
運転代行サービスの車を見て、自分の車を見て、ケンジはうーんと考えて。
「とりあえず、俺の車で俺の家に行きましょう。タクシーとかは、お金なくてちょっと無理なんで、俺の酔いが醒めたら送っていきますから。」
彼女の顔がパーっと明るくなった。
「え?いいんですか?」
「その代わり、俺、飲酒運転は絶対嫌なんで、酔いが醒めるまで、俺ん家で待ってもらいますよ。」
「え~、なんだか悪いですね。あ、そうだ!」
彼女は何かを思いついて、とびきりの笑顔をケンジに見せた。
「せっかくおうちにお邪魔するなら、私、何か作ります。」
「何かって?」
「私こう見えて料理得意なんですよ。ね~マユ?」
マユちゃんはハシャいだ。
「シュープッパ!シュープッパ!」
「はいはい、スープスパね。それでいいですかね?」
思いがけない展開に、ケンジの心は温かくなった。
「いや、いいもなにも、そこまでしてもらうって、なんだか申し訳ないです。」
「いいえ。もちつ・もたれつ方式で。」
彼女はいたずらっぽく笑った。
「なるほど。」
ケンジもつられて笑った。
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