10人が本棚に入れています
本棚に追加
よろずHelpYou!カンパニー[ブロークン・チェリー] 第一話 夏の終わり
今日も・・・八月の熱風夕日が差し込む狭いオフィスは───サウナ風呂のような暑さであった。
窓際の社長デスクに両足を乗せ、若い社長はパタパタとウチワで全身を扇いでいる。
昨日の夜からエアコンの調子が悪く、生暖かい風しか送ってこないので、思い切って窓とオフィスの入り口のドアを全開にしたが、弱くそよいでくる風はまだまだ熱風で、壊れたエアコンを点けて窓を閉めるか、それともこのまま窓を全開にしておくかは───いい勝負であった。
「ねぇ、アップルさん、エアコンの修理はいつ来るの?」
スーツミニスカートを開き気味に、自身のデスクの上に足を乗せ、スーツシャツも第二ボタンまで外しながら社長のブロークン・チェリー(通称)は経理・総務主任の女性に問いかけた。
窓際の社長のデスクから見て右側のデスクにキチンと座っている丸メガネの女性の名はファーム・アップル(通称)。
「チェリー社長・・・そのはしたない恰好はやめてください!・・・いつお客様が来るかわからないんですから」
「もーう、いいじゃない、滅茶苦茶暑いんだから───!」
「良くないですよ、せめて足をデスクから降ろしてください!パンツ見えてますよ!・・・エアコンの修理は明日の午前中には来るそうです」
アップルは帳簿に目を通したままそう答えた。
「はーい」
チェリー社長はしぶしぶ両足を降ろしたが、見えないのをいいことに机の下で大股を開き始めた。
「ただいま───」
開いているオフィスのドアからスーツ姿の一人の若い男性が入ってきた。
「おかえりなさい、バナーナ部長」
経理・総務主任のアップルが少々微笑みつつ声をかける。
「ご苦労様、どうだった?バナーナ部長」
社長のチェリーはひじ掛け椅子から立ち上がると、スーツの上着を脱いでバナーナが座り込んだ商談用のソファの対面の一人掛けソファに腰を降ろした。
最初のコメントを投稿しよう!