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「いやー、チェリー社長、今日もなかなか厳しかったですね・・・仕事は一つもらえたんですけど・・・倒産した[森羅万象商会]の債務整理の一環で、扱っていた輸入商品在庫の中で、売却が可能なものとダメなものとの仕分け作業で・・・ちょっと人足と解析屋が必要ですね・・・なお、報酬は売却総額の一割の契約です」
ハンドタオルで額の汗をぬぐいつつバナーナが答えた。
「じゃあ、またいつものバイトを雇いますか?」とチェリー社長。
「そうですね、人足にはラフリー・パイン君・・・解析屋にはプレサイズ・マーロン君が適任でしょう・・・早速、連絡してみます!」
バナーナはそう答えるとジュエリーモバイルフォン(略称ジュモバ)を取り出すと二人に電話をかけ始めた。
「もしもし、パイン君?ちょっとバイトの話なんだけど───」
******
「───では、そういうことで、明日の朝9時に現地集合で・・・よろしく!」
マーロンへもかけ終わり、バナーナは電話を切った。
「・・・ちょっと、いいですか?チェリー社長、バナーナ部長」
いつになく真面目な顔で経理・総務主任のファーム・アップルが切り出してきた。
「───え?何?アップルさん?」やや上の空の様子で答えるチェリー。
「今月の我社の収支なんですが・・・資金繰りが厳しくて・・・いろいろと切り詰めても、来月のオフィスの家賃や保険代金を支払うのが難しいですね・・・具体的には30万ヤーロほど手元の資金が不足なんですが・・・」
「30万ヤーロ不足?・・・ワンダフル銀行の預金は?」
「今月末と来月頭予定の諸経費を支払うと・・・残額は1万ヤーロを切ります!」
アップルはそう言いながら収支計算表をチェリーに突き付けた。
「あらー!どうしよう?」とチェリー社長はあくまで天然である。
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