よろずHelpYou!カンパニー[ブロークン・チェリー] 第一話 夏の終わり

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「どうですか──?書類の片づけは──?」  アップルが合流し、玄関から声をかけてきた。 「だいたい出来ましたよー!」  リビングからバイトのパインが元気よく答える。 「本当──?」  アップルは素早くリビングにやってくると、早速、指摘を始めた。 「これはね、年度毎に並べてください、いいですか?」 「あ、わかりましたー!」パインは屈託なく答える。 「ほらみろ!」横にいるマーロンが小声でパインに言った。 「・・・それにしても社長・・・リビングがオフィスの部屋、キッチンが給湯室、客間が商談室、納戸が倉庫に・・・チェリー社長のプライベートスペースは狭いベッドルームだけになっちゃいましたね・・・本当にいいんですか?」  バナーナは心配そうにバルコニーに佇むチェリーに声をかけた。 「う、うん・・・」  夕日に染まったチェリーの赤い頬に一滴の涙が伝っていた・・・ 「えっ?!チェリー社長!大丈夫ですか?!!」  驚いたバナーナはチェリーに駆け寄る。  チェリーは涙をぬぐいつつ言った。 「今、下の通りを見ていたらね・・・浴衣姿の女の子と男の子が歩いていってね・・・そうか・・・今日は、この界隈の夏祭りの日だったと思いだしてね・・・今年の夏は営業や資金繰りに奔走してて・・・どこにも遊びに行けなかったなと思ったら・・・急に涙が・・・ね」 そう言うチェリーの目にまた涙がブワッと溢れてきた。 「わっ!わかりました!チェリー社長!・・・今すぐ皆で夏祭り見に行きましょう!!」  バナーナが大急ぎで提案する。 「さんせーい!!」  バイトのパインとマーロンが声を揃える。 「・・・仕方ないわね──、じゃあ片づけの続きは明日の月曜ね?」  アップルも苦笑いの表情。 「本当?・・・やったー!!」    ブロークン・チェリーは一気に大喜びし、バルコニーで飛び上がった。  夏の終わり、まだまだ暑い夕刻の日曜の出来事である────
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