1話「未来の嫁は小学生!?」

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「それじゃあダメなんだ! 俺がいまこのタイミングで死んだら、それこそ彼女の心にふさがらない風穴をあけることになるし、全裸謝罪動画を配信して猥褻物陳列罪で逮捕されたら、それこそ彼女の心にふさがらない風穴をあけることになる」  その言葉を聞いて、俊吾と玲は少し困った表情になった。この好機を逃してはならない。ソッコーでたたみかける。 「経緯がどうであれ、今この瞬間にも、彼女の誤解は思春期男子の性に関する知識のように着々と膨れ上がっている。一秒でも早い解決が望まれる。そのためにも、君たちの協力が必要なんだ。俺のためではなく、彼女のためだと思って、どうか力を貸してほしい。事が解決したあかつきには、しかるべき罰を受けるから!」    むっつりした表情で耳を傾けていた二人はやがて、座卓の上のショートケーキにはじめて手をつけた。  これは彼らの肯定の所作である。彼らは、気を許した相手の前でしかものを食べない習性があり、それは喧嘩でギクシャクした場合にも適応される。  俺が少しでも彼らのご機嫌をとるために購入したショートケーキがみるみる減っていく。どうやら彼らは腹が減っていたらしい。  そもそも俺が、貸主の不動産屋すら顔をしかめるオンボロ四畳半アパート(とはいえ風呂トイレ付きで日当たり良好)に二人を呼び出し、助けを乞うような事態に陥ったのは、とある少女と出会ってしまったがためだ。
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