1話「未来の嫁は小学生!?」

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***  一週間前のことだ。  俺は大学の帰り道、ふと公園(魚の骨を模した不気味な遊具があることから、地元住民は「ほねほね公園」と呼んでいる)によった。オレンジ色が滲み始めたノスタルジックな空を眺めながら、コーラを飲んでしゃれ込みたいと思ったからだ。  俺は懐古的な雰囲気を残す行きつけの商店で、ビンのコカコーラを二本購入していた。いつも二本購入する習性がある。すぐ飲む用と、家で飲む用だ。やはりコーラはビンで飲むのがいい。なぜならカッコイイから。  俺は公園のベンチに腰掛けた。そして意味深に空を見上げる。まるで、死んでいった戦友を想う戦争の英雄のように。  コーラをグビグビやっているうちに、俺は気付いた。いつのまにか、隣に人が座っていることに。  少女だった。  ランドセルを前に抱えて、虚空を見つめている。  その姿にはどこか、子供らしからぬ哀愁が漂っていた。何かに悩み、疲れ果てた者だけが不本意ながら獲得してしまう空気を、彼女は(まと)っていた。 「こんにちは」  俺は自然と、声をかけていた。  少女はゆっくりと目線を上げて、俺のほうへ顔を向けた。  可愛らしい顔立ちの少女だった。  クリクリした大きな目。その上にひかれた、意思の強そうなまっすぐな眉。陶器のように白い肌に添えられた、さくら色の薄い唇。ちょうどいいサイズのお鼻は、顔全体のバランスを絶妙に調整する役割を果たしている。艶やかな黒髪は、後ろで結ってポニーテールにしてある。
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