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息を切らせて同じ事を繰り返すそいつの後ろ…ずっと後ろ。 倉庫入り口のフェンスを蹴りながら、おらァ!!なんて声を上げながら、ざっと数十人のブレザー姿の不良達が、和泉達浄閑の連中へと歩み寄ってくる。…その真ん中に、余裕そうな足取りで向かってくる一人の男がいた。和泉よりほんの少し背が高い感じの、ギャル男っぽい見た目の男だ。
一斉にその集団を見やる浄閑、彼等の前にぴたり止まった播磨。それだけでもう一触即発、睨み合いが始まる。仕方無く和泉もそっちへ目をやった…が、真ん中のギャル男の顔を見た瞬間、和泉はふと表情を歪ませ、やがて目を見開いた。
「…へーぇ?何だよ、アンタが『浄閑の銀狼』?」
ギャル男がへらへらと笑いながら言う。
「アンタどっかで見た時あんなー、その白髪と赤い目。…どっかで会ったっけ?」
そんな、挑発とも本音ともつかない言葉を、和泉は聞いていた…けれど、反応したのは少し違うベクトルだったらしい。
「… 和泉、さん?」
キヨが、どうも様子が変な感じの和泉に、恐る恐る声を掛ける。見れば、和泉の顔は… 驚いていた。それはもう、ものすごく。
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