1)余りに自然な再会

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   で。彼等が再び顔を合わせたのは、それからたった数日後。偶然か運命か、和泉も翔もその日同じ時間に学校をサボり、同じ通りをブラブラ歩いていた。  先に見つけたのは翔だ。遠くにあの白髪野郎を見付け、一緒に歩いていた女の子に「あ、わりィやっぱ用事思い出したから」、なんて適当に帰らせ、和泉の後ろにそっと近付いた。  和泉は全く気付かないまま、窓の外からパン屋さんを眺めていた。腹が減ってたらしい。…もちろん、そんな状態で後ろに近付こうモンならガラスに姿が映ってバレる。案の定振り向きざまの左フックを食らい、翔は派手に吹っ飛んで地面を二度(わざと)後転した。 「いって…ぇな、さっすが銀狼チャン」  ニコニコと笑いながら頬をさする、翔。怒りの形相で見下ろす和泉に、しかし翔はその場に座ったまま。 「……んだテメ?金獅子の割にマヌケだな」 「あー知ってたの?」 「当たり前だクソが!何の用だケンカしに来たのかゴラ!!」 「喧嘩じゃなくてさァ、オレっち暇なのよね。ちょっと一緒にコーヒー飲まない?」 「あ”ァ?」 「だから、コーヒー。おごるし☆」  
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