序曲 M埠頭大戦

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   彼等が何故こうして対立しているのか、中心にいる四人以外で詳しく事情を知る者は少ない。が、彼等は四人の少年達の何れかを真に信じ、心を預けている事は事実。それはいかにも不良な外見や態度ならず、瞳の奥に光るものを見れば分かる事。  誰一人とて殺気や恐怖に負けて逃げ出す者や襲い掛かる者はおらず、場はシィンと静まり返っている。  金髪が、口を開く。 「悪りィねェ、集まって貰っちゃって。うっとこのツレ共がお宅等にずいぶんお世話になった様ォで」  白い学ランが、唸る。 「良くも我が校をコケにしてくれたな……貴様等は許さん!」  黒髪の大男が、漏らす。 「この喧嘩を仕掛ける為に俺達に近付いたのか? なら……何処が強いか、決着をつけようじゃねぇか」  銀髪は、それを何も言わずに見詰めた。まるで様子を見る様な姿は凡そ似つかわしくなく、銀髪の横に居た少年が小さく声を掛ける。 「和泉(かずみ)さん……どうかしたんスか、」  和泉と呼ばれた彼は、一言。 「……お前等は手ェ出すな」 「でも、この数をサバくには」 「黙って見てろ」  訝しむ少年を後目に、和泉はふと歩き出す。  
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