1)余りに自然な再会

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   喧嘩するほど仲が良い、なんて言うことわざがあったと思うんだけど、皆から見る限りこの二人はまさしくその典型例のように映ったんじゃないだろうか。  奴ら二人は会う度会う度喧嘩を繰り返していたけれど、それは見た目殴り合いでもお互い本気を出しているようには見えなくて、彼等を慕っている取り巻き達はもう「またやってるよ」って言う目でそれを見守るようになっていた。 「そんなんで腹立てて、相変わらず短気じゃねェの和泉(かずみ)~ン?」 「ッせぇゴルァ逃げんな新藤(しんどう)!!今日こそぶっ潰したらァ!!」  日常茶飯事。どちらかからの挑発から始まり、翔(かける)が逃げて和泉が追い掛け、やがて殴り合い。決着が着かないまま、取り巻き達は見飽きて「先帰ってるっスねー」なんて言いながら帰って行く。  翔の通う播磨学院と和泉がいる浄閑寺高は対立している高校同士なのに、こいつらの喧嘩…いや、じゃれ合う姿のお陰で、播磨と浄閑がぶつかると言う事案は随分減っている。
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