婚約

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「静脈と動脈…間違えたらお仕置きしてやろうか思ったが…大丈夫だったな。瑞希」 患者の処置を終え、束の間の休息を取る隼也さん。 私は日勤を終え、私服で休憩室に居る彼と落ち合った。 「私…そんな初歩的なミスはしません…」 「研修医でも頭に血が昇って失敗するヤツは居るぞ…」 彼はそう言って笑った。 そして、カップのコーヒーを啜る。 「その瑞希って名前を呼ぶの止めて下さい…」 「どうして?」 「まるで恋人同士みたいに周りから思われるから…」 「…俺は次期病院の院長…院長夫人の座を狙う女は多いぞ」 「だからって…」 「お前は彩芽の代わりになると俺に言った…俺も承諾した…今から父に会いに行くぞ」 「えっ!?」 「…俺のコトスキなクセに…俺が気づいてないとでも思ってるのか?瑞希」 「それは…」 彼は私の手を掴んだ。 「…お前の初めては俺が貰うぞ…瑞希」 「隼也さん!?」
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