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院内の噂
翌日、私は救命救急の医局を訊ねた。
「何だ?瑞希」
白衣の中は紺のスクラグ姿の隼也さんが出て来た。
「あの…昨日の話…母には話しました…」
「そっか…」
「仕事で忙しい父には母が話しておいてくれます」
「分かった…一ノ瀬社長のスケジュールを訊いておいてくれ。瑞希」
「分かりました…」
何だか二人で患者の申し送りをしているかのようだった。
淡々と話は進み、隼也さんは「今日も一日頑張れよ」と私の頭をポンポンと叩き、踵を返した。
私は彼の手でポンポンされた頭に両手を乗せ、暫く一人で含み笑いを浮かべた。
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