プロローグ

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『清和会総合病院』 この地域では四百床以上のベット数を持つ大病院。 院長の高木隼介(タカギシュンスケ)医師は心臓外科医としては国内で有名で、神の腕を持つとされる名ドクター。 時々、テレビの医療番組にも出演している。 私は一ノ瀬瑞希(イチノセミズキ)二十三歳。 小児科病棟勤務の看護師として従事している。 私の父親は不動産業を営む大手建材メーカー『一ノ瀬コーポレーション』代表取締役・一ノ瀬瑞生(イチノセミズオ) 主要取引先は大手ゼネコンの名が連なる。 一ノ瀬家はこの辺りの大地主。 高木家と一ノ瀬家の関係は江戸時代から続いていた。 父は祖父同士が決めた許婚の話を無視して、社長秘書だった母と授かり婚。 祖父は父の暴挙に怒ったけど、産まれた孫の可愛さで、ほどなく諦めた。そして、今度はひ孫同士を結婚させようと画策した。 しかし二人はひ孫の成長を見ずに他界した。 でも、姉の彩芽(アヤメ)と高木家の長男・隼也さんは二人の画策を知ってか恋に落ちた。 美男美女で、二人はお似合いのカップルだった。 隼也さんは父親似の長身で整った顔、東大医学部主席で卒業したハイスペック男子。 父の後を継ぎ、心臓外科医を目指していた。
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