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誰も居ないカファレンスルーム。
私は隼也さんに呼び出された。
彼の表情は少し落ち込んでいるように見えた。何かあったのだろうか?
「私に何か用ですか?」
私は小児科病棟勤務の看護師で、救命の隼也さんとは院内で会うコトはほとんどなかった。
会っても食堂か廊下ですれ違うぐらいのレベル。
「瑞希お前…彩芽が死んだ時、俺に言ったよな…」
「えっ?」
「私が彩芽の代わりになるって…」
私は記憶を手繰り寄せなくても、その言葉だけはハッキリと憶えていた。
「確かに言いました…」
「それは俺と結婚すると言うコトだよな・・・」
隼也さんから結婚の言葉は出るなんて…私は驚きを隠せず、動揺する。
「た、確かに言いましたけど…それは…」
隼也さんが私へと近づく。
「じゃ彩芽の代わりに俺と結婚してくれ」
そして、いともあっさりと抱き締められた。
消毒液の匂いが鼻腔を擽り、そのまま彼は何も言わず、顔を傾け唇を奪う。
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