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部屋の姿見で実が買ってくれた服を見る。
明るい色は似合わない
濡れない体質
嘘だ
私は孝さんじゃないと生きていけない?
嘘だ
部屋着に着替えると、実に買ってもらった服をクローゼットの奥に隠した。
孝さんが帰ってくる前に、シャワーを浴びて“家”の匂いに変えてからベッドに横になった。
実との行為を思い出して身体が熱くなり眠ることができないでいると、孝さんが帰ってきた。
「結、これはなんだ」
そういいながら布団を剥がされた。
孝さんの手には実に買ってもらった靴があった
しまうのを忘れてしまった
「たまにはそいういう色の靴が・・ほ・・」
「こんな派手で、しかもヒールも高いじゃないか、全然似合わないだろ、明日返してこい」
嘘だ・・・
「いやです・・・」
「わたしの言うことは正しいんだ。わたしに従えばいい」
もう何も言えなかった。
孝さんの身体から知らない匂いがした。
今まで気付かなかった“家”のものでは無い匂い
知らない香を纏っていた孝さんが、シャワーを浴びに行った。
ゴルフの後にシャワーを使ったのなら、こんな時間まで匂いは残らない。
もしかすると、私とおなじ理由なの?
この人と結婚していいの?
朝、孝さんの怒声で起こされた
「おい、これは何だ」
孝さんが乱暴に布団を剥ぎ、あのワンピースを目の前に突き出した。
あわててワンピースを取り返し、抱きしめる。
「こういうの着てみたかったから」
「そんな似合わないもの」
「結婚・・・したくない」
ずっと燻っていた種火が実によって燃え上がる
「何をバカなことを言っている、おまえのようなダメな女と暮らせるのはわたしくらいだ、わからないのか」
ジェルを使って挿入だけの荒々しい行為を自分勝手にすませて出勤していった。
今なら解る
実との時間で孝の行為にはなんの感情もない。
服や私が使っていた日用品はすべてゴミ袋にいれた。
実にもらった服を着て、昨日行った海沿いの公園に向かう。
実からの着信に涙がでる。
何かを察した実は今からそこに向かうと言ってくれた
海沿いの公園で待っていたら営業車で駆けつけてくれた
「私、あの人と結婚できない」
「それなら、俺と結婚しよう」
そう微笑んで抱きしめてくれた
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