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「先にシャワー入るよ」
バスルームに消えて行く実の後ろ姿を見つめているとテーブルの上に置いてある実のスマホがメッセージの受信を告げる。
ダメだと思いつつ画面をのぞき見ると“佐藤”という人物からのメッセージが通知画面に表示されている。
とっさにその画面を自分のスマホで撮るとバッグを掴み部屋をでて電車に乗った。
夜11時過ぎ、今からだと辿り着けないが、この電車で行けるところまで行き、あの日私の意思で決断をした場所に行こう。
電車に揺られているとスマホに着信が入る。
画面に表示されている“実"の文字を見つめる。
振動が止まってからLINEを起動させると、私を心配する言葉並んでいた。
私が居なくなると寂しいとか思ってくれるのかな?
撮った写真を送信する。
「この人はだれ?」
「最近遅いのはこの人と過ごしてた?」
これ以上は無理だ、酷いことを言ってしまいそう。
答えを聞く心の準備も無いから電源を切った。
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