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婚約者
二年前
上司だった孝さんと交際していた。
大学を卒業後、食品メーカーの商品宣伝部へ配属されたが、新人の私は仕事の覚えが悪く課長の孝さんによく注意を受けていた。
嫌われていると思っていた。
1年経ち、仕事に慣れた頃
「おまえは一人では何もできないから、わたしが人生を創ってやる。わたしのモノになれ、それ以外の選択は無い」
そう言われ、課長が言うのならそうなのだと思った。
付合いが始まって1ヶ月もしないうちに
「結は一人では何もできないから一緒に住んでやる」
と言われ、同棲が始まった。
孝さんは常に私の行動を決めてくれた
「同棲が知られると結が仕事をしにくいだろうから秘密にする」
「その髪型は似合わない。黒髪にして後ろで束ねなさい」
「明るい色の服は似合わない」
「きみは濡れない体質だからわたしじゃないと夜の相手はできない」
「来月の誕生日に入籍しよう。だから仕事を辞めなさい」
7月末の退職日までは有給を消化することになった為ようやく課の人達に結婚の報告をした。
一人で部屋に居ると無言電話が掛かってくるようになった。
無言電話にビクビクしているところに一枚のハガキが届いた。
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