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「少し話をしない?駅前のファミレスとかで、若林さんに嫌われているのは解っているけど、俺がすっきりさせたいんだ」
ファミレスの座席
私の前にはずっと好きだった川原くんがアイスコーヒーを飲んでいる。
夢のような状況に緊張してアイスティーに浮かんでいるレモンをストローで突いていた。
「凄く雰囲気が変ったね、その・・婚約者の趣味?」
「趣味というか、私には明るい色は似合わないって・・・」
実は一瞬、不思議そうな表情をした。
「俺さ学生時代、若林さんが好きだったんだ・・・過去形じゃないか・・・今も気になってる」
「うそ、だっていつも彼女が絶えないし、そのセ・・・(フレ)が何人もいるって」
実は苦笑いをしながら
「あの頃、告白されても好きな子がいるから付き合えないって断ってたんだけど、それでもいいからって言われて付き合っても、その子のことを好きになることができなくて別れたあとセフレなら付き合えるっていう訳の分らない噂がながれて・・・」
「・・・・」
なんて言えばいいんだろう、両思いだったってこと?どうして私?
「どうして私?的なこと考えてる?」
「はい」
「3年に上がったばかりの時、体調が悪くて辛かったけどゼミの顔合わせだったから無理して参加したとき、授業が終わって辛いの我慢して、みんなに合わせて喋っていたところに栄養ドリンクをくれて早く帰って寝た方がいいよって言ってくれただろ、誰も俺の不調に気がつかなかったのにそう言ってくれたのが嬉しかったんだ。それからは、いつも若林のこと目で追っていた。話を掛けると避けられるから、俺みたいにチャラそうな男は嫌いなんだろうって思って告白もできなくて、でもずっと引きずっていた」
あの時、いつもより顔が赤くみえた、だから熱があるんだろうなって早く帰って休んだ方がいいのにって思って勇気をだしてドリンク剤を手渡したのだ。
「今日、もしかしたら若林さんに会えるんじゃないかと思って来たんだ。まさか、婚約者がいるなんて思わなかった・・・いきなり失恋だ」
嬉しい気持ちが婚約者の言葉で沈んでいく
「明日、デートしない?最初で最後になるけど」
明日、孝さんは早朝からゴルフに行くと言っていた。接待で帰りも深夜になるって・・・
最初で最後のデート・・・
「したいです・・・デート」
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