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「怪しいなぁ。」
ふっくらした丸顔に訝しげな表情を浮かび上がらせた瑛太は小さな腕で抱えた素焼きの植木鉢の中を覗きこんだ。
「本当に芽が出てくんのかなぁ。」
「にいちゃん。きっと大丈夫だよ!ほらコレ芽じゃないかな!」
首を鋭角に曲げしげしげと不安気に眺め続ける瑛太の真横から踵を上げた九太郎が土の一部に小さな盛り上がりを見つけた。
オレンジ色の夕陽は高低差の大きい二つの黒いランドセルを不均等に反射する。
「違うよ。九太郎。ただの土の塊だ。」
「そうか残念、でもさぁ......にいちゃん。
」
【世界征服の花って一体どんなのだろう。】
瑛太と九太郎は言葉に出さないワクワクした思いを同時に胸に抱き、足どり軽く家路を辿ってゆく。
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