黒猫テツ

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 そんなテツが,いよいよ危ないとなったのは十年前の六月のことでした。 「テツ,もうアカンかもしれん」  テツの具合が悪くなってからずっと面倒を見てくれていた伯父が,そう言ったのを覚えています。六月十三日の日曜日でした。  テツは元々伯父の飼い猫で,テツも伯父に懐いていました。でも一番懐いていた相手は母でした。  私は子猫の頃はよくテツとじゃれ合っていましたが,大きくなってからのテツとはどう接していいのか分かりませんでした。それでも,テツが私の可愛い"弟"であることに変わりはありませんでしたが。  母と私とでテツを動物病院に連れて行くと,腎臓が悪かったことが分かりました。そして,ガンであることも……。  その日は点滴を打ってもらい,翌日にまた病院に連れていくことになっていたのですが……。
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