黒猫テツ

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 その翌日の朝――。テツは母と伯父に「ありがとうニャン」と言うようにして息を引き取りました。 「テツ,今死んだわ……」  伯父の部屋から戻って来た母が,私と弟に教えてくれました。  私がテツの最期の顔を見ると,それは安らかな表情でした。最後は病気で苦しかったはずなのに……。 「テツ……,よう頑張ったなあ。苦しかったなあ。もうゆっくり休んでな……」  私はテツの亡骸を撫でながら話しかけ,ボロボロ泣いていました。  テツ……,もっと一緒に遊んであげたらよかったな。冷たいお姉ちゃんでゴメンな。マリーのことは心配せんでええよ。  天国でクロちゃん(テツの母猫)が待ってるで……。  ――猫は死期を悟ると姿を消そうとすると言いますが,テツもまた,動けないのにどこかへ行こうとしていました。  でもテツの最期は家の中で,大好きな家族に看取られての幸せな最期だったと私は思います。
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