私の御守り

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私には彼氏がいる。しかし、最近彼は意地悪だ。目の前に私がいるのに見えてないふりをしたり、なにか話しかけても、そっけない返事をするだけ。前は仲良くいっぱいおしゃべりをしてデートしたりもした。そんな彼が急に私を遠ざけようとすると凄く悲しい。自分の存在が否定されたように思ってしまう。自分からどうしたの?って聞くのはなんか気まずいような気がして理由などは聞いていなかった。そして、ある日ふとその理由を知ることになった。とある日の朝、彼は学校に来なかった。最初は風邪かなって思った。しかし、四日くらい学校に来なかったので、さすがに心配になり、彼の様子を聞くために先生に彼のことについて聞こうとした。すると、先生は私に彼の様子を教えてくれた。 「あぁ、あの生徒なら、今は○○病院にいるよ。暫く入院するそうだ。あ、君が○○病院に行くなら、この書類と、課題を彼に渡しておいてくれ。じゃ、よろしく頼んだぞ。」 彼になにかあったのかととても心配になってきた。放課後、すぐさま先生に渡された彼の書類と課題を持って彼のいる○○病院に向かった。そして、病院の受付で教えてもらった彼のいる病室に入る。「失礼しまーす。書類を持ってきたよ。大丈夫?元気?」そう聞くと彼は笑顔で私を迎えてくれた。「ああ。大丈夫だよ。ちょっと体調を崩しただけだから。」そういう彼はなにかを隠しているようだった。次の日、彼は退院して学校に来た。皆、彼の心配をしていたようだ。彼に「大丈夫か?」と聞くクラスメイトもいた。彼はやっぱり私に対しての態度は相変わらず意地悪だった。しかし、私は彼がとても心配だった。そしてある日、彼は突然一緒に帰ろうと自分から誘ってきた。私は嬉しかった。久しぶりに彼と一緒に帰れるからだ。そんな幸せな時間もすぐに壊れることになった。下校中、彼が突然倒れた。私はパニックになってまわりの人に助けを求めた。彼は救急車に乗せられ病院に運ばれたのだが、そのあと息をひきとった。私は絶望した。大切な彼を失って心にぽっかり穴が開いた。私は不思議と泣かなかった。というより、泣けなかった。そして、彼の葬儀の日が来た。私は静かに手を合わせ彼を見送った。そして、数日後、私は号泣した。普段から泣かない私が号泣した理由。それは、彼からの最後の手紙だった。 「最も愛する貴方へ。今まで意地悪な態度をとってごめんね。許して。僕はあの入院したときに大きな病気が見つかった。僕自身も信じられなくて落ち込んだ。でも、君のことを考えると君と会いたくて会いたくて仕方がなかった。あの書類を持ってきてくれた日、僕はとても嬉しかった。今までありがとう。そして、ごめんね。さようなら。」 そうかいてあった。それだけではない。手紙の下の方にまだ文があった。 「あ、これも書いておくね。君と接するときに意地悪してごめん。僕は君のことがすきだ。好きなんだけど、恥ずかしくて…その恥ずかしさから、君に意地悪な態度をとってしまったんだ。本当にごめん。君に会えなくなるのはとても悲しいけど、これだけは言わせてくれ。強く生きてくれ。僕の分まで。そして、幸せな家庭を築いてくれ!これは、僕との約束だからね!」 ここで手紙の文は終わっていた。手紙を読んだあと私は、その手紙を大事に私の鞄のなかにいれた。今でも、私の大切な御守りとしていつも鞄のなかにいれている。
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