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家の前の公園で、私はそっと線香花火を出した。
大きな花火は見に行けないけど、せめて夏らしいことをしようと用意したもの。
静かに火をつけて、じっと眺める。
ぱちぱちとはじける火花が、夕暮れの中で綺麗に光る。
線香花火は、傷ついた私の心をすっと洗い流してくれた。
「なんで、今日だったんだろ……」
ぽつりと私の口をこぼれた言葉が、
「何が?」
彼に届いたらしい。
「え、誰ですか?」
上から降ってきた声に顔をあげると、私と同い年___高校生くらいの男の子がいた。
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