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「よし、やるか!」
封の開いていないたくさんの段ボールを見て気合いを入れた。
腕まくりをしてそれから一つ一つ荷解きを始める。
食器類は取り合えずキッチンの上の棚に入れるとして。
あ、そうだ、まだ物干しポール買ってないや、これは今日中に買わなくちゃだな。
メモを取りながら片づけ始めて。
ふと、まだカーテンをつけていない開けっぱなしのリビングのベランダを見た。
『眺め、いいね』
『でしょ、千夏は気にいると思った』
『うん、気に入った!』
見上げたら私を見下ろして微笑んだ彼。
目が合うとついばむようにキスをして。
『あ、ねえ荷物片づけないと、日が暮れちゃう』
『ん~、でも、もうちょっとだけ』
尚樹のお願いに流されちゃう、悪い私の癖。
『一緒に暮らそう、ずっと。オレの側にいて』
そう言ってくれたあなたは私にとっては最初はただの友達の一人だった。
だけど、とってもとっても疲れてた私を。
たくさんの笑顔とたくさんの優しさで包み込んでくれたから。
私、幸せになっても、いいのかな。
目の前に差し伸べられた大きな手を取ったのは私。
あなたと一緒にいることを選んだのは私。
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