とりあえず生きてくわ

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「……難しい、配線……」  TVの前で段ボールから取り出したたくさんの配線を見て悩む。  取り扱い説明書なんか大嫌いだ、読んでると頭が痛くなる。  こういうのは全部ナオの専門だし。 『千夏、チーカちゃん、ちょっと来て』 『ん?』 『これ、電池入れ替えたの、誰?』 『私』 『プラスとマイナスくらい、ちゃんと見て入れなよ~!! つくわけないじゃん』  TVのリモコンの電池すらまともに入れられない機械音痴オブ音痴な私のやることにナオはいつも笑ってる。 『仕方ない、千夏はオレがいないと生きていけないしね』  年下のくせに、とちょっとむくれる私を。  頭を撫でて子供のように愛してくれる、優しい笑顔で。 「はい、だからもうできません、やっぱりできません、私にはできませんでしたー!!」  大きな声で独り言ちて笑う。  ナオの言葉思い出してポイッと説明書と配線を放り投げた。
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