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難関は次から次へとやってくる。
「届くわけがない」
上の棚に使わないもの入れようとして気が付くのは背伸びしても指先しかそこに届かないってこと。
台を探してもあるわけがない、購入した覚えがそもそもないから。
「台、重たいよなあ」
ついたため息がベランダから風に乗って流れてくといいな、今日はぼやきがひどい。
『無理しないのっ』
必死に背伸びして上の棚に荷物を入れようとしていた私の手からひょいとそれを奪って片づけてくれる。
『いいなあ』
下からナオを見上げて羨ましがると。
『なんで? オレは千夏がちっちゃくて可愛いんだけど?』
ギュッと後ろからハグされると悔しさなんてどっか行っちゃって。
私、小さくて良かったかも、なんて。
『千夏がやれないことはオレがやればいいの、でしょ?』
『何かいつもナオに甘えてるね、ごめんね』
『違うでしょ、ごめんじゃなくて、ありがとう!』
ナオは私がすぐに謝る癖があることを知っている。
謝って泣き出しちゃってパニックになることも。
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