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◇◇◇
当時元カレがストーカー状態になってしまった私は一人、逃げるようにして都会へと出て。
家電付きの小さな賃貸アパートを借りて、近くのコールセンターでバイトを始めた。
そこで出会ったのが大学卒業間近のナオだった。
明るくて友達がいっぱいで。
顔はイケメンではなかったけれど、一緒にいたら何だか元気になれた。
「千夏さんのこと、好きになっちゃったかも」
ある日の飲み会帰りそんなこと突然言われて驚いて私は首を横に振った。
年齢的には5つも下、彼には釣り合わない。
年上で多分一生トラウマ抱えて元カレの影に怯えてるような女。
それでも何度も真正面から告白されて、最後には。
「千夏さんの全部、オレが受け止めるから。だからさ、一緒に暮らそう、ずっと。オレの側にいて」
知らないよ、って泣いた。
知らないんだからね、って。
彼に飛び込んだ。
私のどこが好きになったの?って聞いたら。
「顔!!」
なんて薄っぺらい答えをくれたナオだけど。
私はナオのその答え方が大好きだった。
楽だった、素直な人だなって。
◇◇◇
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