とりあえず生きてくわ

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「ねえナオ、身体痛くなっちゃうよ」    しばらく待ってたけれど帰って来なかったから先に眠ってしまって。  朝早く目覚めたらクッションを枕代わりにして床に寝そべり熟睡しているナオがいた。  揺り起こしたら、目が全然開かない無精髭のナオが、う~んと大きく伸びをして。 「ゴメン、千夏が寝てるかもって思って連絡しなかった」  そう言ってモソモソと今度はベッドに潜り込んでいく。 「休みで良かったね、二日酔い? 何か作ろうか?」 「ううん、後で起きたらコーヒーだけ淹れて。もうちょっとだけ寝る。10時くらいに起こして」 「10時? 何かあるの?」 「ちょっとね、12時に約束ある、昨日のメンツで会社の上司の出産祝い選びに行くことになってる」 「聞いてない~! どこか出かけたかったな」 「ごめん、昨日なんだもん、決まったの。明日はどこか行こ、千夏の好きなとこ」  ごめんね、って微笑まれたら仕方ないなって許しちゃう。  年下男の特権だよね、甘え上手だ。  私は多分ナオに対して甘いのかもしれない。  だけど、それはナオが優しいからだ。  朝の用意はナオがしてくれる、私が身支度で忙しそうだからって。  それに洗濯や洗い物も。  代わりに私ができることといえば夕飯を作ったり、ナオを甘やかすことくらい。  でも、それでうまくいってると思ってた。  ふと光るナオのスマホ。  LINEのポップアップ通知。 ―――ナオくん、昨日楽しかったね、12時に待ってるね!―――  目の前が真っ暗になった。  ハートマークがいっぱいのサナちゃん、に。
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