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私の学校の使われなくなった焼却炉の中には子供がいる。
錆びて黒ずんで針金で扉を巻かれて、死体となった焼却炉の中にいる。
毎朝おはようと声をかけあう生徒が通り過ぎ、はいおはようとほほ笑む先生や、ふざけている生徒をしかる先生が行きかう傍らの、焼却炉の中に子供がいる。
私は焼却炉の扉をノックする。
まだいますかときいてみる。
扉の内側から声がする。
くぐもっているのはひざを抱えているせいだろう。
先生たちがじっと私を見ている。
生徒たちは通り過ぎていく。
私はもう一本鎖を余計に巻いてうちへ帰る。
焼却炉が使われなくなった理由を先生に聞いた。
私の学校の使われなくなった焼却炉の中には今も子供がいる。
私はそのせいで放課後いつも泣いてしまう。
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