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どのテレビでもコメンテーターや専門家が議論していて、必ず出てくるのが『超高気圧マシーン・きあつめ君Ⅱ』のことだ。根強い賛成意見がある中で、どちらかというと反対意見が優勢になっている。世論的にも反対の意見のほうが過半数を占めるようになり、いまや、高気圧マシーン・きあつめ君Ⅱは悪の根源とまで言われるようになってしまった。
その台風三七号の特番の中で、北野博士が出ているものがあった。その相手は以前から北野博士の発明を肯定的に受け止めているコメンテーターだった。
『今回も北野先生のきあつめ君Ⅱで粉砕しちゃってくださいよ』
楽観的に話すコメンテーターは、見ている人にどういう風に映っているのだろうか。
『それなんですが・・・・・・』
楽観的なコメンテーターとは違い、やや俯き加減の北野博士。生放送というのを忘れているのではないかと思うほど表情が暗い。
『先生、どうしたんですか?』
急に変わった空気感にコメンテーターもやや戸惑いの表情を浮かべた。
少し間をおいて、北野博士は意を決したように顔を上げ口を開いた。
『実は、きあつめ君Ⅱではもう太刀打ちできないんです』
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