超高気圧マシーン

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『私は高気圧と低気圧の空気の回転方向に着目しました。北半球では低気圧は反時計回りに回転しながら、外側から中心に向かって空気が流れ込みます。その反対に、高気圧は時計回りに回転し外側に向かって空気が流れていきます。その回転を同じ位置で同時に行ったら・・・と考えました。位置がずれて高気圧と低気圧んでしまう状態だと前線ができてしまいますが、同じ位置にあったらどちらも打ち消してくれるのではないかと考えたのです。そしてそれを可能にしたのがこの超高気圧マシーン・きあつめ君なのです』  その後も会見は続き、気がつけば冷やし中華の麺が随分と汁を吸ってのびていた。 「なんだかいいんかね」  店主は苦虫を潰したような表情を浮かべ厨房に戻っていった。 「何がですか?」 「んっ?自然をコントロールしようなんて、神を冒涜してるようなもんだろ?人間は自然に生かされてるのに、それをコントロールしようなんざ・・・・・・」  超高気圧マシーン・きあつめ君がお披露目されて、その効果を知らしめたのが、台風一八号撃退だった。  北野博士の言うとおり、低気圧×高気圧で見事に消滅させることに成功したのだ。それには日本のみならず世界中が賞賛の声を上げ、連日メディアで取り上げられていた。  北野博士の世紀の発明のおかげで、この年日本は台風被害、ゲリラ豪雨などでの水害に見舞われることはなかった。
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