超高気圧マシーン

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『今年は例年にない気象状況ですから、我々としても心強い見方ですよ』  気象予報士にも期待の色が見てとれる。  小池はそれをラーメン金龍のカウンターで、超冷やし中華をすすりながら見ていた。  超冷やし中華とは、金龍の店主が今年から売り出している、キンキンに冷えた冷やし中華のことだ。例年にない暑さのため、急遽発売したら意外と人気が出たらしい。 「毎年毎年、例年にないなんて言ってるけど、今年はちょっと異常すぎるよな」  W・Sをふかしながら店主はカウンター越しに小池に話しかけてきた。 「ホントですよね。去年も同じようなこと言ってた気がしますけど、六月なのに最高気温四一度ってどうなってるんですかね。しかももう台風が接近してきてるって言ってましたからね。おかしいにもほどがありますよ」  超冷やし中華をすすりながら小池はテレビを眺めていた。 「超高気圧マシーンだったっけ?あれがまた活躍してくれそうだな」  店主は言いながらW・Sをふかした。
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