超高気圧マシーン

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 そしてその年の冬、山間部を中心に記録的な大雪に見舞われた。過去の産物の数少ない電柱は頭まで雪をかぶり、二階建ての家は屋根まですっぽりと雪に覆われて、朝起きたら室内で窒息して死んでいるという事故が相次いだ。  そこで気象庁は、超高気圧マシーン・きあつめ君Ⅱを使って降雪のコントロールを行った。大雪を降らせそうな低気圧の玉砕はさることながら、既に大量に降雪している地域に高気圧を作り、太陽の力でその雪を瞬く間に溶かした。その効果は絶大で、以後その年は雪での被害はなくなった。    しかしその影響でか、桜が色づき始めたのはまだ二月という異例の状況になってしまった。北野博士は因果関係を否定していたが、それは誰の目にも明らかであった。  日本人の大好きな桜が咲く時期がずれたことで、次第に超高気圧マシーン・きあつめ君Ⅱを批判する声が出始めた。ネットでは批判の声が多く見受けられるようになり、メディアでも批判するコメンテーターが続出し始めたのだ。
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