超高気圧マシーン

9/16
前へ
/16ページ
次へ
 その批判的な意見の多くは、超高気圧マシーン・きあつめ君Ⅱで作った人工的な高気圧が、地球温暖化に拍車をかけているというものだった。このままいくと夏が長くなり、冬の降雪量が大幅に上がってしまうだろうと予想する気象予報士もいた。さらには、最終的に人類が滅亡するという意見まで上がり始めたのもこの時期だ。  そしてその夏、それを伺わせるような出来事が起こり始めた。  四月には最高気温四〇度を記録し、台風が発生したという情報が流れたのは、ゴールデンウィークになる前のことだった。この異常気象を説明することなど誰にもできず、ただ現実を受け入れるしかできなかった。  夏が四月にもう来てしまったということになる。  春はなくなり、このままの状況で七月の暑さのピークを迎えたら、予想最高気温は五〇度を越えるだろうということを気象庁が発表した。  去年をはるかに上回る強力な勢力を持った台風が発生したのは、まだゴールデンウィークが過ぎたばかりのときだった。台風九号は南の海上で発生し、既に中心気圧は八七〇ヘクトパスカルと、前代未聞の数字をたたき出していた。これには専門家たちも危機感を覚え、緊急の会合が行われた。
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加