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儀式
友里の目の前にあるご神木にとまっている白い蝶が羽ばたいた。
大きな大きな羽を広げると、淡い緑色した翅脈を浮かび上がらせた。宝石が降ってきたかと錯覚するような鱗粉をまき散らし、舞い踊るようにして空に飛び立っていった。
友里はその光景を見て言葉を失った。
あまりの美しさに言葉が出なかったといえばそうなのだが、今目の前の光景を言い表す言葉が見つからなかったのだ。
真夏の暑さも忘れ、全身を感動という鳥肌が迸った。
飛び立ったその蝶が向かう先には、色とりどりの個性あふれる蝶が既に何匹も宙を舞い、踊るように交錯していた。
赤い体をした小さな個体から、縞々模様の個性的な蝶もいる。その蝶の群れの中に白くて大きな蝶は向かっていった。
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