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6月上旬。その学校では学園祭がある為、静かに浮足だっていた。――雄也を除いて。
「雄也!……っと人がいたのか……」
屋上にやってきた宗司は雄也のギターを聞きに来た生徒を見て静かにした。ノリで生きている彼も空気を読む事は出来る。
流れていく音色に耳を傾ける生徒は静かに屋上から去っていった。気にしないでギターを弾く雄也。誰かの為に弾いている訳ではないのだ。自分で弾きたいから弾き。リクエストが来たら応える。それが屋上ライブのルールだ。
「雄也。ちっといいか?」
「何か用なのか?」
「学祭でお前にライブしてくれってリクエスト来てるらしいぞ。生徒会に」
宗司はノリで生徒会に入っている為、この手の情報が早い。
「それで?」
「やったらどうだ?あっという間に有名人だぜ?ゲストでそんな有名じゃないプロのバンド来るからお前を見て、これだ、ってなるかも――」
宗司の妄想をよそに雄也は立ち上がって屋上から去ろうとした。
「おい!無視か?」
「シカトって言うんだ」
雄也は冷めた口調で言って屋上から出ていった。
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