学園祭

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カノンはよく結婚式や卒業式などで流れる涙を誘う曲だ。それを二人が奏でる。すぐに人だかりが出来て曲に耳を傾ける。 廊下を通して学校に響き渡る。まるで吹き抜ける風の様に音が流れては過ぎ去っていく。やがて曲が終わると、拍手が起きた。 「……」 拍手の中を雄也は知らん顔して去っていく。それを見て調子に乗りそうだった潤も雄也の後に続いて歩いていった。 「ギター巧いね」 校門を出て潤は言った。ハーモニカはもうポケットの中だ。 「ギターしか、しないからな……」 「だから純粋に響くのかなぁ?何か…あれだよ。心に響く。雄也のギターは」 潤が誉めるが雄也は知らん顔で小さな楽器屋に入った。
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