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「スラムのヤンキーのボスって本当なのか?」
店を出て雄也が尋ねた。
「まさか、嘘に決まってるじゃん。俺は平和主義者だからね」
明るい、無邪気な笑みを見せて潤は答える。騙された宗司を面白がっている。悪戯に成功した子供のように見えた。
「雄也は喧嘩するの?見た目はちょっと怖いけど」
「喧嘩なんかするか。しても……対大勢だけ。まぁ暴れるだけだな……」
夕日が二人の影を長く伸ばしている。儚い光に伸ばされた影は微かに揺れている。
「雄也はなかなか、危ないんだね……。俺なんか喧嘩なんかとは違う世界でさ。親の言いなりで勉強ばかり教え込まれて、挙句の果てには家出しても10分で連れ戻された……」
「……」
無言で雄也は歩き続ける。
「親って……何だろなぁ……?」
自問する様に潤は呟いた。
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