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「久々に皆で音楽じゃなぁ……」
伊知郎がコンガを叩きながら言った。
学校の教室に二人が居る。
「受験終わったのか?」
「とっくに合格した。まぁわしの学力をもってすれば簡単じゃったがな」
得意気に伊知郎は言った。
「そりゃ良かったな」
「おぅ。そういえば耕太が遅いのぉ……」
伊知郎が言った時、耕太が駆け込んできた。
「おう、すまん!」
「来たな……。じゃあ、やる曲を決めるぞ」
雄也がメモ帳にペンで書いて二人に渡した。
「お、知らん曲があんじゃな……。“故郷”“卒業の唄”、“風の通り道”“Go Ahead”に“ありがとう”それから“無題”?何じゃこれ?」
耕太が読み上げて最後の言葉を尋ねた。
「あぁ……俺が作詞と作曲した短い曲なんだけど、タイトルは決めてねぇんだ………」
「ほぉ?どんなじゃ?」
伊知郎が興味を示した。
「一回だけな」
雄也がチューニングを済ましてギターを弾き始めた。
それはいつか雄也が転校する際に披露した、あの曲だった。
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