3953人が本棚に入れています
本棚に追加
「――えぇ曲じゃなぁ」
伊知郎がしんみり言った。
「雄也らしい曲じゃなぁ……。これやってえぇじゃろ?」
「……まぁ、ダメとは言わねぇけどな……」
あまり乗り気じゃない雄也。
「じゃあ、これと……“故郷”ってどんなじゃ?」
「ほれ、デモテープ」
雄也がテープを渡した。それをカセットで流す耕太。
「普通に響くのぉ……。優しい感じじゃなぁ」
「これも決定でえぇじゃろ」
伊知郎がメモを見る。
「“Go Ahead”は好きじゃ。あとは……“ありがとう”もえぇじゃろ?そんで、最後に……“卒業の唄”ってどんなじゃ?」
「特製の書き下ろしだ。……あんま作詞は得意じゃねぇけどな………」
言って雄也は上がった曲の歌詞のコピーを出した。
「コンガは自分でやれよ。で、これ歌詞だ。一晩で覚えろ」
「任せろ!じゃあ分かる曲から練習じゃな?」
耕太がマイクを持って言う。
「分かってんじゃねぇか」
雄也がニッと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!