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『アコースティックライブ?』
受話器から潤の声がした。
「あぁ……。ギターとコンガとボーカルの簡単なヤツだ」
インターネットで色々と調べながら雄也が言う。
『アコースティックかぁ……。そういうのもいいね。で、それが最後の日本でのライブと?』
「あぁ……。お前と初めてライブやって、太朗や亮とバンド組んで、アルバムも作って、でも転校してこっち来た。
それで、またバンド組んでライブもして太朗が抜けて今度はアコースティックライブ………。お前に誘われなかったら、今の俺はねぇ」
言って雄也はパソコンから目を離した。
『雄也にそんな事言われるなんてちょっと感動するね』
「好きに捉えろ。そんで、お前に頼みあるんだ……。いいか?」
『何でもどうぞ』
「じゃあ……」
一旦、言葉を切り。雄也は続けた。
「じゃあ……アメリカで、誰でも参加出来るギターとかのフェスティバルみたいの調べて教えてくれねぇか?3月から来年の12月まで」
『はいよ、じゃあ調べたら詳細書類と一緒に送るよ。アメリカ行ってそういうの回ってみるの?面白そうだね。俺も時間縫って見に行こうかな』
楽しそうな潤の声。
「お前は仕事しろ」
『こないださ、秘書にも言われた』
悪戯っこの様な屈託のない声に雄也も口元を歪めた。
「とりあえず、頼んだ」
『任せといて♪』
「恩に着る。じゃあな」
言って雄也は少し間を空けて電話を切った。
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