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時間は過ぎ去りあっという間に卒業式前日になった。
「いよいよじゃな」
伊知郎がしみじみ言った。
「そうじゃなぁ……。
何だかんだで三年間も通ってたんじゃな……」
耕太も同意し、窓から青い空を見た。
「まぁ、大して距離は変わってないんじゃがな……」
同じく窓からすぐそこの小中学校を見て伊知郎が苦笑いした。
「はは……。小学校、いや保育園から高校で15年くらいか?ずっと一緒じゃったなぁ……」
「それも、明日で終わりじゃな。わしは東京の大学に行くことになっとるし。耕太は家業継ぐんじゃろ。それだとちっと寂しくなるのぉ……」
二人が窓から外を見ていると、その教室に雄也が入ってきた。
「おぅ、珍しく遅かったのぉ」
「お前らが早いんだろ?」
雄也が時計を指差した。集合時間の30分も前だ。
「いや、今日で終わると思うとのぉ……。早速やるか?」
マイクを構えて耕太が言う。
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