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「いや、今日の練習はなしだ。特に耕太、お前はだ」
「何でじゃ?」
耕太が尋ねる。
「今日がライブなんだ。もしも喉枯れたらどうすんだよ」
「あぁ、なるほどのぉ。じゃあどないすんじゃ?」
雄也のもっともな指摘に納得する耕太。
「別に……。何もしない。気ままに過ごすそれだけだ」
ギターを出して雄也は弾き始める。
「何じゃ……拍子抜けじゃなぁ」
伊知郎が言う。
「じゃけ、丁度えぇ機会じゃ。皆で語らんか?」
「……はぁ?」
露骨に不満そうな雄也の表情。
「はぁ、じゃないじゃろ。ほれ、トランプでもしながら色々話そう」
伊知郎がカバンからトランプを出して雄也に渡した。
「…………トランプは嫌いだ」
雄也の脳裏に決着のつかない潤とのババの引き合いが鮮明に蘇った。
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