3953人が本棚に入れています
本棚に追加
つまり雄也が言っているのはソロがいいと、他に合わせるのは好まないと、そういう事だ。宗司はため息をしてから雄也の前にあぐらで座った。
「一曲、頼むわ」
罰の悪そうな顔をしながら宗司が言う。
「……」
静かに雄也はギターを弾く。放課後の穏やかな屋上から温かい音が鳴り、吹き抜ける風に乗ってメロディが流れた。
聴衆はたった一人だが雄也は心を込めて弾いていく。柔らかなアコギの音が校庭にまで響く。風が音を乗せてどこまでも響いていく様だ。歌はなく、純粋なギターが流れた。
「――終わり」
やがてギターを静かに片付けて雄也は言った。
最初のコメントを投稿しよう!