待つ身

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 みなと公園のベンチに座りながら僕は彼女の登場を待っていた。  綿密に立てたプランはフローチャートの様に枝分かれしていてどんな事が起こっても問題ないようにしてあるつもりだ。彼女はきっと喜んでくれるだろう。  ただ、僕は彼女を裏切っているのではないかと胸を痛めていた。  僕がOKを出したのは彼女が好きだからじゃない。彼女を好きになりたかったからだ。夢中になりたかったからだ。  僕を好きになってくれる人ならきっと僕も好きになれる、そう思ったからだ。  僕は小学5年生の頃と中学1年生の時、恋人を作った事がある。  僕から告白し、そして受け入れてもらったんだ。  姉ちゃんが好きだった。僕はいつの頃からか姉ちゃんの事が好きになってしまっていた。それに気づいた時にはもう気持ちは大きくなり過ぎていた。  実の姉に恋をするだなんて言えるわけもない。だから僕はその気持ちを他に向けるしかないと思った。  初めて付き合った子は笑い方とか仕草とかがとても可愛らしくて姉ちゃんに似ていた。二人目に付き合った子は気遣いとか落ち着いた女性的な考え方とかが姉ちゃんにかぶって思えた。  どちらも別れを切り出されるまで半年かからなかった。僕が酷い奴だからだ。
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