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不意に掛けられた声に僕は顔を上げ、そして思わず目を見開いた。
「姉ちゃん、何でここへ」
そうしてから日が沈んでいる事に気付いた。
ああ、なんて事だ!彼女は来られなくなったのか!トークアプリに連絡が入っていたかもしれない。気づきもせず放置してしまったのか!
「たまたま通りかかったのよ。そしたらあんたが居るんだもん。肩落としちゃって、なんかフラれたって感じじゃん」
僕は答えに詰まった。そうなのかな。
すると姉ちゃんは僕の隣に座って、こっちを見つめて来た。その座る仕草がいつも家で見せるようなわざとらしいがさつさではなくて、彼女本来の自然な体の運びだった事に僕は少し驚いた。
姉ちゃんは多分わざと僕の前でだらしなく振舞っている。わざとだからすごく不自然だ。なんでそうしているのかはなんとなくわかっていた。僕を寄せ付けない為だ。迷惑だったからだ。なのになぜ今、素を出しているんだろう。
「ね、せっかくのプラン台無しにするのもったいないじゃない。お姉ちゃんを一日だけ恋人にしてみる? 」
え? と言う声さえ漏れなかった。今姉ちゃんは何て言った?
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