刹那の永遠

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 家の中と違って、外出する時の姉ちゃんはちゃんと女の子の格好をしている。世間では逆かもしれないけどこっちが姉ちゃんの素の姿だ。  弟の目だから贔屓目かもしれないけど、この姿に心躍らない男はいないだろう。その彼女が僕に声を掛けた。 「どうなの? あたしじゃ不服? 」  声が出ないから首をぶんぶん降ると彼女はここ数年見せた事無い様な可愛らしい微笑みを浮かべた。  ただ相手の目を見つめる事しかできない僕の手を取って、心から愛おしい相手は僕の名を楽し気に呼んで、ベンチから立ち上がらせた。  心地良い温度に落ち着いた風が海に面したここ、みなと公園をそっと抜けて行く。  日が沈んだばかりのまだ明るさの残る夕闇を足元から照らす間接照明の中で、この美しい年上の人は少しだけ上にある僕の目を優し気に見上げていた。  僕の方が背が高いのにどういう訳か自分の小ささを感じてしまう。  彼女の目が細められ、くすりともれた笑いのなんと心地良い事か。それがすぐに悪戯っぽく変わり委縮しているな?と眼差しで語る。  僕は心情を顔に素直に出してしまっているのだろうか、今度は柔和に微笑みに変わる。
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